先日YouTubeに「荒城の月」をUPしました。
滝廉太郎が作曲したロ短調の「荒城の月」は大正時代山田耕作氏によって編曲されニ短調になっているという情報を基に原曲はこんな感じになるはずと演奏してみました。
ニ短調であれば1尺八寸管で吹けるので、尺八の初心者用教則本では琴古流、都山流を問わずニ短調の楽譜を採用しています。
ロ短調となれば2尺1寸管を用いて吹けば移調できます。
さて、2尺1寸管で吹奏した感想はロ短調のほうが「荒城の月」の味わいを出せると感じました。そもそも論になりますが、ロ短調の根音になるのは「B」で暗いイメージです。昔栄華を誇った城も城主もいなくなり荒れているわけで、過去を偲ぶ歌詞にはうってつけだと思います。
山田流筝曲に「秋風の曲」という曲があります。以前この曲を2尺管で合奏をお願いしたら、2尺1寸で演奏してくださいと注文がありました。作曲者が意図したのは「わびしさ」を表す根音「B」だったようです。
これと似たようなことが前にもあり、普段1尺8寸管で演奏していた曲ですが、合奏勉強会で1尺9寸管で演奏してくださいと指定があったことがあります。
尺八を吹く多くの人は1尺八寸管で事足りると考えるわけですが、作曲者の意図した基本音はあるようです。
話を「荒城の月」に戻しますが、結局ロ短調の「荒城の月」は忘れ去られ大正、昭和、平成、令和と長きにわたって編曲されたニ短調で演奏されています。そして滝廉太郎作曲と表記されています。それは誤りです。山田耕作編曲と記載すべきではないかと思います。